1990年3月18日日曜日

雑木林の復活が始まりました

五斗蒔だより(この号から)1990年3月号から

雑木林の復活が始まりました

記念すべき第一歩です

 林の藪を刈りたい。地主さんのOKもでた!宍塚大池の西側の小山約80aです。ここは、アズマネザサが少し生えている雑木林、篠だらけの林、山火事の跡、モウソウの竹藪です。ここを起点に、宍塚の藪刈りをついに始めました。
 第1回目は、2月18日の午後、まずは北側斜面の雑木林から手をつけ始めました。記念すべき第一歩です。ここは、比較的雑木林らしいところ、キノコ栽培にはよさそうです。わすか2時間で、いたる所に生えていたアズマネザサが刈り払われ林床が姿をあらわしました。これからの春植物が楽しみです。さらに、桜堤から小山の頂上を通って雑木林に行くことができる道をつくりました。小山の頂上に登ると、木々の間から大池がみえます。地の広さがさらにひろがり雰囲気は全く違ってきます、ここは、弁当なんかを食べる広場にぴったりです。

焼け跡に挑戦

 第2回目は2月25日、大池に両した南斜面、山火事の跡です。ナラやクヌギ あるようで余りない。実はほとんど全て枯れていました。改めて山火事の恐ろしさを感じます。しかし、そんな枯木を斧で倒すのは、爽快。木を倒すなんて滅多に経験できない事をたっぷりとした子供の顔は輝いていました。ところが、天気は余り良くなく、午後は雨もぱらついてきましたが、休憩の声も聞えないぐらい熱心に作業をやっていました。みなさんやっぱり楽しいようです。この日、約4aの藪がきれになりました。

少しは慣れてきたのかな

 第3回目は3月4日、昨日とはうって変わっての汗ばむような天気です。はやくも冬眠から醒めてたカエルが池に向かって飛ぴ跳ねています。まん丸いウサギの新鮮なフンもいたるところに落ちています。これらの生き物にとっても、この藪刈は良い方向のはずです。
 前回は切るぺき木と残す木の区別が曖昧だったので、今回は残す木には赤いテープを結わえ付けることにしました。これがうまくいきました。また、斜面の下から刈っていくようにしたり、刈った枝の積み場所を決める事がよいことも解りました。そして、なによりも参加者が作業に慣れてきたため、能率は大幅に向上しました。午前中だけでしたが前回より多い約5aの藪刈ができたのです。
 この日は朝日新聞が取材に訪れて、翌日の茨城県南版のトップ7段ぶち抜きで、宍塚大池で斡木林復活の試みが報道されました。だんだん会の活動も知られるようになってきました。

広場ができました

 第4回目は3月11日です。天気は抜群、小山の頂上付近を中心に池を見おろせる広場をつくりました。土浦市立博物館の塩谷さんに古墳の場所も確認してもらい、その周囲も藪刈。最初はアズマネザサに覆われて古墳の姿もおぼろでしたが、次第に、そのふくらみが判るようになりました。あらためて宍塚の歴史を感じたところです。
 第2回目に藪刈をしたところ、ここは、山火事のためほとんど木が残っていません。そこで、ゴンズイやコブシ、イヌシデなどの落葉樹を数本植えました。気の長い話ですが、10年後が楽しみです。

藪刈の影響は?

 藪を刈ったのでウグイス等の鳥が、桜堤の近くは最初は少なくなるかもしれません。鳥は環境に敏感です。人間がくると、鳥は驚いて一時的にそこから居なくなります。しかし、宍塚・天王池全体から見れば、私たちの手がつけられるのは300分の1にも満たない面積です。まわりには、藪がズーと広がっています。繁殖期前ですから、鳥に対する影響は一時的なものでしょう。また、キツネの主な棲息場所にな、てる様子もありません。環境が安定すれぱ、鳥達はまた戻ってくるでしょう。
 好みはいろいろ。藪が好きな生物もいれぱ、藪があると棲めない生物も居ます。じつは、生物の種類数は、よく管理された雑木林の方が多いのです。林床の植物は、あのうっぺいしたササ藪では生えることが出来ません。地表に光が当たるようになって、種図の植物がせいいくします。そして、これらのいろいろな植物を食べいろいろな生き物が棲めるようにもなるのです。ウサギにとっても、少し開けた草原の方が棲息場所としては適しています。かつての宍塚はよく管理された雑木林でした。それが今藪だらけになっています。藪だけでは、いろいろな生物は住めません。もとに戻すのです。藪を刈ることは多様な生物の棲息する環境を創りだすことになります。
by M

藪刈りは面白い!
 庭の草むしりはしんどいけど林の藪刈は面白い。これが亭直な印象です。藪刈りそのものがひとつのストレス解哨やレクリエーションになりそうです。自然の中でたっぷり汗を流がす。豪快に鎌をふり、斧を立木に打ち込み倒す。仲間と集まって動いて、汗をかくこれはもうスポーツです。そして、その成果がきれいになった林としてはっきりと見えてくる。何年か後には美しい雑木林になるという創造性と夢があるレクリエーションです。

大池に行ってみて・・・
吾妻小 6年 Yくん
 2月18日ぼくは母にすすめられて大池の自然観察会に行った。はじめのうちはのり気でなかったぼくも、双眼鏡で鳥を見たりするうちにだんだん面白くなってきた。中でも大池にいたカモが時々むれをなして飛ぶところが心に残った。あれは何度みてもあきないだろうと思う。
 しぱらく鳥を見た後、七草がゆを食べ、少し散歩してから雑木林の手人れをした。雑木林の手入れというのは、電気のこぎりで林の中にのさばっている竹をきりたおし、下草をかって道を作ることだった。ぼくは、この様な探検みたいな事やくわなどを使った仕事は好きだったので、おおいにハッスルした。まだこの1回しか言ったことがないが、鳥もたくさん見られるし、近くにはない雑木林とも接することが出来るので、これからもいける時は行こうとおもう。



1990年2月18日日曜日

里山さわやか隊前史1

五斗蒔だより(当時は、「宍塚の自然と歴史の会 会報」) 1990年2月号の記事

美しい雑木林を我々の手で復活させよう

林の下草を刈って見たい!
 宍塚に行って思うこと。この雑木林、何とかならないかな。ササを刈ってみたいな。そうすれば、林床の植物が復活するのに。あの、美しい薪炭林を復活させたいな。山菜取りができるかな。キノコをとったり、もしかすると栽培もできるかもしれないね。雑木林の中を駆け回ることだってできる太郎。子供を遊ばせることだってできるだろう。でも、いかんせんそこは、地主さんがいる他人の土地です。なかなか、下草刈りはままなりません。

林を借りたい!
 地主さんがいる。だったら、借りることはできない?どうせ借りるならば、理想の場所を探そうじゃないか。ということで、あたりを見渡しました。そう、池のほとりで、ちょっと登れば、池が見渡せる景色のいいところ。そして、落葉樹の林。と、目についたのが桜堤の西側の小山です。クヌギもナラも生えてるし山は東に面している。これはキノコを栽培するのにはもってこい(なのだそうです)。蔦もそんなにひどくは生えていない。モウソウの竹藪があります。タケノコ掘りも出来るかもしません。


OKです!
 地主さんが見つかりました。STさんです。Sさんのお宅は、宍塚でたった1軒のかやぶきの家。その歴史の重さ、その風格には、圧倒されます。我々のコンクリートの団地がなんと薄っぺらく貧しく見えることでしょうか。幸いなことに、こころよく、林を使うことを許可して頂きました。さあ、あのぼうぼうとしたアズマネザサを刈って、雑木林の復活です。私たちの手でやるのです。


なにが必要?
 とは、いっても、アズマネザサに覆われた林に素人が立ち向かうのはなかなか大変。人手も技術も知恵も必要です。そして、若干の費川も。とういのは、アズマネザサと格闘するにはプロの手もちゃんとした道具も必要だからです。そこで一口5000円の基金を募ることにしました。もちろん強制はしません。労力を提供する。知恵をだす。仲間を連れてくる。いろいろな参加のしかたがあります。お金を出すのは、数ある中のひとつてす。得意の分野で、できる範囲で、そして楽しく。これが長続きの秘訣です。


とにかくやってみよう!
 下草をどういうふうに刈ればいいの? いつやるの? どの木を残すの? キノコ栽培は? 子供が遊べる林ってどんなの? みんなの考えていることも十人十色です。分かることがほとんどない。分からないことだらけです。いろんなことを教わって、考えて、話をしながら、実践です。もうすぐ宍塚の林が変わります!!